深絞り成型を用いたフューエルダムの設計について
こんにちは。中央エンジニアリングの松井です。
私はこれまで主に航空機構造の設計に携わってきました。設計といっても製図だけではなく、さまざまな作業があります。設計ノウハウも多岐にわたるため、簡潔に表すのは難しいところです。
本コラムでは、これまでの経験を活かしながら、できる限り分かりやすく設計の考え方や知見をお伝えしてまいります。私たちの持っているノウハウが少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
1深絞り成型を用いたフューエルダムとは
深絞り成型は、金属板をプレス機械で金型に押し込み、底の深い容器形状に成形する塑性加工の一種です。
深絞り成型を用いた部品として、航空機の燃料タンクに用いられるダムというものがあります。ダムと聞くと、水力発電所で水をせき止めるためのダムを連想するかと思いますが、航空機に用いるダムは水ではなく、燃料をせき止めるために取り付けます。燃料をせき止めるため、フューエルダムと呼ばれます。
形状としては、図1のようなイメージです。
2航空機の主翼構造とフューエルダムの役割
航空機の主翼構造内部が燃料タンクになっていることは、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、燃料タンクがどうなっているか細かいところにも触れていきます。
航空機の主翼は、スパー(SPAR)・リブ(RIB)・ストリンガー(STRINGER)で構成された箱型のボックス構造(トーションボックス)で、強度確保と燃料タンクの機能を兼ねています。
主翼構造全体としては、図2のようなイメージです。
ボックス構造の仕切りとなる端部のリブをタンクエンドリブと呼んでいます。タンクエンドリブは、密閉した空間にするために構造部材間の隙間を埋める必要があり、この隙間を埋める役割を担うのがフューエルダムです。
リブとストリンガーの間には隙間が生じますが、組立のことを考えると隙間は必要となります。ストリンガーに干渉しないようにリブを配置して、ストリンガーの本数分の隙間を埋める必要があります。
3設計のポイント:部品の共通化
フューエルダムを設計するうえで特に重要なのが、可能な限り共通化を図ることです。すべてを専用部品とすると図面点数が増え、コストが上がるだけでなく、組立時の取付け間違いのリスクも高まります。
共通化を図ることで、図面点数の削減に繋がり、コストを下げることができ、組立時の取付け間違いを防げます。
例えば、数ミリの違いがあるからといってすべてを専用部品としていたら、見た目がほとんど同じなので、誤って隣の部品を取り付けてしまいます。
部品のコンターや各配置先の寸法を考慮しながら、共通化できるものは可能な限りまとめることが設計の要点です。どうしても共通化できない場合は、誤取付防止のため、フランジの端部を一部チャンファーに変えるなど、見た目で識別できるようにすることが大事です。
設計ノウハウはすぐに身につくものではありません。まず当社ではエンジニアが教育段階から実際の図面に触れ、知識を得ることを大切にしています。
また、やはり経験を積むことが設計ノウハウを身につけるベースとなりますので、先輩社員に積極的に質問する姿勢や、自分で過去の事例を調べる習慣が重要と考えています。